ピックアップメモ
- 「貨幣を持つことによって、人間は匿名性を得る。...それによって、貨幣は、近代以前の社会において人間を縛り付けてきたさまざまな共同体的束縛から、個人としての人間を切り離す...。...近代社会における人間の「自由」に基礎を与えているのです。」
- 貨幣を貨幣足らしめているのはなにか?
- 仮想通貨は通貨足り得るの?
- 足り得ない。投機対象となってしまうから。
- 投機対象は、「お金のお金としての価値 > お金のモノ(商品)としての価値」の不等号が逆転してしまい、貨幣の前提が成り立たない。
- 2つの資本主義観
- 貨幣は投機である
- お金の価値が上がると実質的に物価が下がる(デフレ)。となると、今よりも将来物を買ったほうが得なので、タンス預金が増え不況になる。不況になるとさらに物価が下がる。デフレスパイラルが行き着く先は、企業倒産と失業が起こる恐慌。
- 一方、お金の価値が下がると物価が上がる。人々は早くお金を使おうとする。物が買われ、物価が上がる(インフレ)。するとまた物が買われる。これが行き過ぎるとハイパーインフレーションになる。
- このように、人々がお金の価値が上がったり下がったりすることを懸念して行動している様子は、まさに投機家のそれと同じといえる。
- だからこそ、貨幣によって成り立つ市場は本質的に不安定と言えるのである(投資家と市場だけが資本主義を不安定にしているだけではないのだ、ということ!)。
- アリストテレスと「近代」
- アリストテレスは、資本主義に必然的に存在する逆説を見つけた。
- ポリスに置いて人々が自身の役割を互いに全うして皆が善く生きることを追求すると、必然的に貨幣という媒介物が必要となる。
- 靴職人が物々交換で家を建てることはできないため。
- しかし、共同体内で自身の役割を全うしていく手段としてではなくそれ自体を目的として貨幣を必要としてしまうと、共同体の自足性が失われてしまい、共同体が崩壊してしまう。
- なぜ貨幣それ自体を目的としてしまうのかというと、人間はモノだけでなく可能性自体にも欲望できる生き物だから。言語によって可能性という抽象的なものを発見してしまったから。