学びの糸を紡ぐ

自分なりになにかを身に着けていく過程をまとめたり、記録しておきたい心情を残したり。

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』1〜5(光文社古典新訳文庫)を読んだ

読書の軌跡

感想とか

読む前〜読み始め

読み途中

1巻
  • 「第3編 女好きな男ども」あたりからグッと面白くなってきた印象。そのあたりから急に読むペースが上がった気がする。
  • 読むのにかなり時間がかかってしまった。新型コロナにかかったり仕事がバタバタしていたりして「今は小説の気分じゃないな」という時期が続き、復帰するのが結構大変だった。
2巻
  • もう完全に引き込まれており、(時間の許す限り)一気に読んだ。
  • スネギリョフとその息子イリューシャが散歩しながら話している時のエピソード、大審問官のエピソードなど、心を震わせるものが多かった。
  • 読んでいて、「自分自身は、すなわち自分が大切に育ててきた思想の体系は、この問いに対してどのような解を与えられるだろう?こんなに素朴な問いに対して、何の解も与えられないではないか!」となり、読んでいてショックを受けるし、己の未熟さを痛感する。
  • 「神は存在する/存在しない」という二項対立をそもそも前提としない自分は、同様の問いに対してこの中の登場人物とは全く異なったアプローチで結論を出していかなければならない。人生単位の宿題を与えられたような感じがして、身震いした。
3巻
  • 2巻から続けて一気に読んだ。
  • 2巻のような頭をガツンとやられるような強烈な読書体験はなく、普通に物語を読んでいる感じだった。
  • ミーチャの物語が一気に進む。科学的な調査が乏しい時代は状況証拠だけで判決が決まってしまいそうなので、頭の切れる人間はいくらでもやろうとすれば犯罪が犯せたんじゃないかなという気持ちになった。
4巻
  • イリューシャ・・・ジューチカ・・・涙なしでは読めない。
  • スネギリョフは人によっては滑稽に思われそうな描かれ方をしているように思うが、子を持つ親としてはとても深く同情してしまう。
  • 「第11章 イワン」でスメルジャコフと話す前、話し中、話した後それぞれのイワンの描写がとても臨場感があった。人間の苦しみ、葛藤というものを作中の人物を通じて味わう感じが、実に小説を読んでいるなぁという感じでたまらなかった。
  • この時代は今と比べて科学的な捜査やカメラのような記録媒体などが乏しいため、入念に準備さえしれば容易に誰かを犯罪者に仕立て上げることが可能だったんだろうなぁと感じた。
5巻
  • エピローグは56ページくらいでだいぶ短い。
  • 残りの約300ページは訳者によるドストエフスキーの伝記と解題。
    • 解題を読むに、自分は象徴層のエピソードを好んで読み進めていたことがわかる。が、一般に物語層を楽しむ人が多いのはわかるし、そういう人にとって2巻が鬼門になるのもわかる。
    • ファウスト』を意識して、イワンをメフィストフェレスに準えていると言う指摘はなるほどなと思った。読んでいたので理解しやすかった。

longtime1116.hatenablog.com


読んだ後(全体を通した感想)

  • 長かったが、読んで良かった。
    • 途中、なかなか読書に時間を割く余裕がなかったり、鳥山明氏が亡くなってDBを全巻買って読んだり、別の本を読んだりもしていたので、読了までにだいぶ時間がかかってしまった。
  • 2巻に収録されているイワンとアリョーシャの会話(大審問官含む)は、またいつか必ず読むだろう。素晴らしかった。
  • まさに今もこの世界のどこかで、日本で、ひょっとしたら半径1km圏内で、例えば理不尽な苦痛を与えられている幼い子供がいるのだという事実を、どう呑み下せばいいのだろうか?神を持たない自分はどのような思想によってそれに立ち向かえばいいのだろうか?どうしたらそういった事実を傍に置くことなく堂々と前を向いて生きていけるのだろうか?

from where?

  • 方々で絶賛されているので、いつか読みたいと思っていた。

to where?