どんな本?
「ありそでなさそでやっぱりあるもの」、例えば意味、機能、目的、自由、道徳・・・。
それを唯物論的・発生的・自然主義的観点から考える本。
哲学する営みを追体験する感じの本で、哲学の歴史とかを紹介する本ではない。
論理的思考をしながら読み進めるタイプの本。
感想
ペレブーム
ペレブームのハード非両立論が肌になじんだ。
自由意思と責任を捨てることは、我々が合理的行為者であることや熟考する主体であることを否定しないし、道徳のうちの多くも残されるというのが興味深い。
自分は、遺伝・育った環境・性格の3つでだいたい人生は決まってしまってしまうと考えている。
この格差社会で、ほとんど避けようがなく犯罪に手を染めてしまうような人もいるんだろうなと。
自分はかなり恵まれた3要素を備えていたのでたまたま生きやすいが、そうでなかったらと思うと恐ろしい。
誰に対しても、「そうであったかもしれない自分」を感じずにはいられない。
そういう自分にとって、このペレブームの考え方は非常に馴染んだし、考えを深めることができた。
ペレブームの本読みたいけどちょっと厳しそうだ・・・。
人生の意味を考えること
人生総体の意味を考えてしまうことは、進化の産物である目的手段推論能力のある種の暴走だ、という主張はとても面白い。
短期的な目線での目的を達成するための手段を考えるためのものを、手段の延長線上に何を目的するのか?と逆方向に使ってしまうと、人生の意味に惑いがちだ。
また、目的手段推論を中長期の目線で使うのも危険だ。
本当に自分が望んでいるかわからないもののために苦しむことになりかねない。
もっとはっきりと自分の望むもの、短期的な目線な目的のために手段を考えて、生きていけば十分なんだ、という気持ちになった。
「人間をいつも目的として扱い、単に手段として扱うな」
カントの定言命法の一つ。
無知なのでこの本で初めて知り、良いな〜と思った。
こういうのもっと知りたいな。
もっと知って、自分なりの系を構築したい。
from where?
たまたま昔ちくま新書セールのときに買ったやつを読んだ。
哲学というものに対する興味からスタート。
to where?
作者の別の本
- 戸田山和久『教養の書』
- 教養というものをどう捉えるか?どう身につけるか?あたりを一度ちゃんと本を読んで一つの考えを知っておきたい。今後色々本を読んでいく前に読んでおくとレバレッジが利きそう。
- longtime1116.hatenablog.com
参考文献等から次読みたいものをピックアップ
- ネーゲル『コウモリであるとはどのようなことか』
- 野矢茂樹『子どもの難問』
- 三谷尚澄『若者のための<死>の倫理学』
- 鬼界彰夫『生き方と哲学』
進化論関連のなにかも読んでおきたい
哲学系も。
- 『反哲学入門』
(太字は特に興味あり)