学びの糸を紡ぐ

自分なりになにかを身に着けていく過程をまとめたり、記録しておきたい心情を残したり。

鶴見済『完全自殺マニュアル』を読んだ

どんな本?

世紀末を生きる我々が最後に頼れるのは生命保険でも年金制度でもない。その気になればいつでも死ねるという安心感だ。…薬局で買えるクスリから、最も安楽に死ねる方法まで、聖書より役立つ、コトバによる自殺装置。

感想

  • どうしても★1つ以外付けようがなかったのだが、読んで良かったとは思う。★1つは★2つよりもある意味特別な存在だ。
  • 読んでいてかなり陰鬱な気持ちになった。救われるような気持ちにならなかったのは、自分が恵まれた環境にいるからかもしれない。
  • かなり危険な本だと感じた。本気で死のうとする段階にない人(しかし苦しみを感じている人)にとっては薬になるかもしれないが、本当に死を真剣に考えている人にとっては最後のひと押しになってしまう可能性も大いにある本だと思った。
    • 読む前は「なんだかんだ死ぬのも意外と大変だし苦しいから、だったらもうちょっと生きてみるか」みたいな印象を与える本なのかと思ってたが、読んでみると「いや、これは死のうとすれば本当に簡単に死ねちゃうぞ」という印象を持ってしまった。
    • 家にこの本を置いておくか、本気で悩むレベルだ。自分の子供が仮に思い悩んでいる時にこの本を見つけ、それをきっかけに自殺してしまったとしたら、自分は立ち直れないだろう。それこそこの本のお世話になってしまうかもしれない。
  • 自殺エピソード、自殺未遂エピソードがケーススタディとして差し込まれているのだが、それを見ると、世の中には本当に辛い現実に直面している人たちがいるのだということを突きつけられて、それだけでもかなり圧倒されてしまう。
  • 一貫して「死にたきゃ死ねばいい。人生なんてそんなもんだ。」みたいな軽いノリのスタンスを感じられた。それにより生きることに深刻になりすぎなくていいというメッセージを伝えようとしているのだろうが、どこまでいってもそのスタンスに対して嫌悪感を拭い去ることができなかった。
    • 個人的には自ら能動的に死を選ぶことを否定する気はないが、それは生を(そして死を)軽んじることとは違うんじゃないのかなという気持ちになった。自殺した多くの方々は、生に真剣に向き合った結果死を選んだのであって、ノリで死んだわけではない。軽いノリで「ケーススタディ」として彼らの死が扱われているのをみて、彼らの人生が軽んじられているように感じて不快感を感じたのかもしれない。
    • もちろん、ここまで熱意を持って情報を集め整理してこの本を書いているわけだから、この作者はただの軽いノリだけで自殺に向き合っているわけではないのだろうなとは思う。
  • 調べてみたら、作者の鶴見さんは見田宗介のゼミ生だったらしく、ブログ記事を読んだ感じ、大きな影響を受けているようだった。正直、かなり意外だ。

from where?

  • ちょくちょくこの本のタイトルを目にするので読んでみたいと思っていた。

to where?

  • 特になし。