学びの糸を紡ぐ

自分なりになにかを身に着けていく過程をまとめたり、記録しておきたい心情を残したり。

読書

見田宗介『現代社会はどこに向かうか ― 高原の見晴らしを切り開くこと』を読んだ

現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと (岩波新書)作者:見田 宗介岩波書店Amazon 感想 見田さんの本であるがゆえ、相変わらず読んでいて非常に気持の良い文章だった。 ロジスティクス曲線を人間に適用して考えたときにII期からIII期への転…

2022年に読んだ本

過去分はこちら 2021年に読んだ本 - 学びの糸を紡ぐ 2022年総評 評価 冊数 割合 ★★★★★ 3 12.5% ★★★★☆ 9 37.5% ★★★☆☆ 8 33.3% ★★☆☆☆ 4 16.7% ★☆☆☆☆ 0 0% 今年最も読んで良かったと思えた本は、真木悠介『気流の鳴る音』。読んだ合計冊数は、のべ24冊。平均し…

カミュ『異邦人』を読んだ

異邦人 (新潮文庫)作者:カミュ新潮社Amazon 感想 とても良かった。主人公がとても魅力的だし、文体も好みなので、グングン読み進めてしまった。 死/生に対する向き合い方の主人公のスタンスが興味深く、自分が死に向き合うに当たり大いに参考になりそう。も…

真木悠介『自我の起源: 愛とエゴイズムの動物社会学』を読んだ

自我の起原: 愛とエゴイズムの動物社会学 (岩波現代文庫)作者:真木 悠介岩波書店Amazon 感想 『時間の比較社会学』『気流の鳴る音』と読んできて、自分なりの思想が形成されつつあると感じていたが、この本はやはりその欠落したピースを埋めてくれたように思…

斎藤幸平『資本論 NHK100分de名著』を読んだ

NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』 2021年1月 (NHK100分de名著)作者:斎藤 幸平NHK出版Amazon 感想 『資本論』を前提にした書物を色々と読んできているし、一応経済学部出身だし、あまり真新しい発見はなかった。 『資本論』の引用の文章がちらほ…

真木悠介『気流の鳴る音』を読んだ

気流の鳴る音―交響するコミューン (ちくま学芸文庫)作者:真木 悠介筑摩書房Amazon はじめに(ここに何を書いたか) 本ブログの「XXXX『XXXX』を読んだ」というタイトルを持つ文章は、基本的に自分のために書かれている。誰かにその本を紹介するために書いて…

見田宗介『現代社会の理論: 情報化・消費化社会の現在と未来』を読んだ

現代社会の理論: 情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)作者:見田 宗介岩波書店Amazon ピックアップメモ p23 T型フォードは人間の作業の工程を徹底的に分解し標準化し企画し、合理的に組み立てることで、コストダウンを実現した。これは「科学的管理法…

トルストイ『イワン・イリッチの死』を読んだ

イワン・イリッチの死 (岩波文庫)作者:トルストイ岩波書店Amazon どんな本? トルストイの小説。ハイデガーは「死」を描いた優れた書として挙げているらしい。 感想 仕事で自尊心を満たし、家庭は社交する他者に見栄えよいものとして虚栄心を満たし、それに…

中島義道『哲学の教科書』を読んだ

哲学の教科書 (講談社学術文庫)作者:中島 義道講談社Amazon どんな本? 哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。みたいなことを平易な文章で伝えている本。 感想 哲学と思想は違う、とい…

小林正人『この星の絵の具 [上] 一橋大学の樹の下で』を読んだ

この星の絵の具: 一橋大学の木の下で (上)作者:正人, 小林アートダイバーAmazon どんな本? 画家・小林正人による自伝小説。3部作の1作目。 感想 とても面白かった。 思いを言葉にして激しくぶつけているエネルギッシュな感じがあって良い。読んでいるこっち…

小川裕夫『鉄道「裏歴史」読本』を読んだ

鉄道「裏歴史」読本 誰も書けなかった「あの車両」「あの路線」の謎 (文庫ぎんが堂)作者:小川裕夫イースト・プレスAmazon どんな本? 鉄道の歴史に関する話を列挙した本。 感想 1ネタ数ページでたくさんのネタが乗っているので、体系的な知識を学べるような…

首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』を読んだ

沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿 (SB新書)作者:首都圏鉄道路線研究会SBクリエイティブAmazon どんな本? 首都圏の主要路線を色々な切り口で格付けし、順位を出している本。また、鉄道の大正時代くらいの歴史についても書いてある。 ピックアップ…

大澤真幸 他『ナショナリズム NHK100分de名著』を読んだ

別冊NHK100分de名著 ナショナリズム (教養・文化シリーズ 別冊NHK100分de名著)作者:大澤 真幸,島田 雅彦,中島 岳志,ヤマザキ マリNHK出版Amazon どんな本? ナショナリズムとは?4つの著作に対して、それぞれ4名の方がその紹介を自論も交えておこなっている…

ベティ・エドワーズ『脳の右側で描け』を読んだ

決定版 脳の右側で描け作者:ベティ・エドワーズ河出書房新社Amazon どんな本? まったく絵が描けない人でも、右脳を使って(左脳によるバイアスに騙されずに)うまくやることで、絵が描けるようになる!という本。 ピックアップメモ デッサンに必要な5つの知…

醍醐芳晴『プロの画家が伝授 こう描けば絵は上手くなる』を読んだ

プロの画家が伝授 こう描けば絵は上手くなる作者:醍醐芳晴芸術新聞社Amazon どんな本? プロの画家が書いた、読む技術書 ピックアップメモ プロとアマチュアの差は、どの程度自分が描いている絵の良し悪しを判断できているかの差であり、技術によって上り詰…

小田亮『レヴィ=ストロース入門』を読んだ

レヴィ=ストロース入門 (ちくま新書)作者:小田 亮筑摩書房Amazon どんな本? 構造主義の祖であるレヴィ=ストロースについて書いている本。 ピックアップメモ 第1章 人類学者になるということ 人類学から社会科学への最も重要な貢献は、「真正さの水準」によ…

岸政彦『ブルデュー『ディスタンクシオン』(NHK100分de名著)』を読んだ

ブルデュー『ディスタンクシオン』 2020年12月 (NHK100分de名著)作者:岸 政彦NHK出版Amazon どんな本? 100分de名著シリーズの、ブルデュー『ディスタンクシオン』回のテキスト。 ピックアップメモ ブルデューが提唱した概念3つ、ハビトゥス、界、文化資本(p…

サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』を読んだ

ゴドーを待ちながら (白水Uブックス)作者:サミュエル ベケット白水社Amazon どんな本? 劇作家サミュエル・ベケットによる戯曲。1952年初版。 感想 デカルトは「我思う、故に我あり」と言ったが、エストラゴン(ゴゴ)とヴラジーミル(ディディ)は考えない…

マイケル・S・ガザニガ『<わたし>はどこにあるのか ガザニガ脳科学講義』を読んだ

〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義作者:マイケル・S. ガザニガ紀伊國屋書店Amazon どんな本? 「ギフォード講義」の講演をもとにまとめられた本。「脳科学の足跡を辿りつつ、精神と脳の関係、自由意志と決定論、社会性と責任、法廷で使用され…

丸山俊一『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』を読んだ

岩井克人「欲望の貨幣論」を語る作者:丸山 俊一,NHK「欲望の資本主義」制作班東洋経済新報社Amazon どんな本? NHKで放送した番組「欲望の資本主義 特別編 欲望の貨幣論2019」(2019年7月14日放送)をベースに書籍化したもの ピックアップメモ 「貨幣を持つ…

今井良『内閣情報調査室』を読んだ

内閣情報調査室 公安警察、公安調査庁との三つ巴の闘い (幻冬舎新書)作者:今井 良幻冬舎Amazon どんな本? 日本の主たる諜報組織である内閣情報調査室、公安警察、公安調査庁の3つの組織について紹介している。 感想 読んだ所感 かなり面白かった。こんな漫…

ロバート・D・カプラン『地政学の逆襲』を読んだ

地政学の逆襲作者:ロバート・カプラン朝日新聞出版Amazon どんな本? 第一章では地理が歴史上人類に与えてきた影響を振り返りつつ、世の地政学者が地理をどう解釈しどのような理論を打ち出してきたかを説明している。 第二章第三章では、現在の世界がどうな…

橋爪大三郎『はじめての構造主義』を読んだ

はじめての構造主義 (講談社現代新書)作者:橋爪 大三郎講談社Amazon どんな本? 構造主義って何?祖であるレヴィ=ストロースの紹介を通じてざっくり解説。 感想 構造とは、変換によって失われない性質。例えば、四角形を射影変換したとき、正方形だろうがそ…

中島らも『今夜、すべてのバーで』を読んだ

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)作者:中島 らも講談社Amazon どんな本? 中島らもの自伝的アル中小説。 感想 とても良かった!!!面白すぎてついついトイレ読んでしまったり、スキマ時間に立ちながら読んでしまったりした。終わるのが名残惜しい、ずっと…

見田宗介『社会学入門 - 人間と社会の未来』を読んだ

社会学入門: 人間と社会の未来 (岩波新書)作者:見田 宗介岩波書店Amazon 気になったところピックアップ 生物は、はじめは少しずつ増殖し、ある時期急速に爆発的な増殖期を迎え、その環境容量の限界に接近すると再び増殖を減速し、やがて停止して安定平衡期に…

2021年に読んだ本

2021年総評 ブログを整備し本を読み始めた1年だった。今年最も読んで良かったと思えた本は、真木悠介『時間の比較社会学』。 読んだ冊数は、8月から開始し5ヶ月で10冊。 11月は読めなかったが、まぁ仕事や育児で余裕がないとそうなるよねという感じ。2022年…

ポール・ブルーム『反共感論』を読んだ

反共感論―社会はいかに判断を誤るか作者:ポール・ブルーム白揚社Amazon どんな本? 共感は世の中で自明に重要視されることが多いが、本当にそうなの?そんなことないよ?と力強く一石を投じる。 サマリー 筆者は共感を、情動的共感と認知的共感に分ける。 情…

真木悠介『時間の比較社会学』を読んだ

時間の比較社会学 (岩波現代文庫)作者:真木 悠介岩波書店Amazon どんな本? 文化と社会によって異なる時間という概念に対する感覚と観念を比較検討している。 特に、近代的自我に特有の時間意識とその構造的な矛盾を明瞭に指摘している。 感想とメモ 最高に…

リチャード・ドーキンス『進化とはなにか』を読んだ

進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義作者:リチャード ドーキンス早川書房Amazon どんな本? 生き物が進化するとはどういうことなのか?原始生命はどのように鳥や人間といった生き物になっていったのか?をわかりやすく解説している本。 感想とメモ とても…

ゲーテ『ファウスト悲劇第二部(上・下)』(手塚富雄訳)を読んだ

ファウスト 悲劇第二部(上) (中公文庫)作者:ゲーテ中央公論新社Amazonファウスト 悲劇第二部(下) (中公文庫)作者:ゲーテ中央公論新社Amazon どんな本? 省略 感想 第一部と違って複数のエピソードが混ざり合って進んでいくので、読んでいて自分がまとも…